笹子 佐智子
Sachiko SASAGO
IT企業で、長らく人材育成や人事を担当してきた笹子さん。2021年にCEAP(国際EAPコンサルタント)の資格を取得しました。人の応援をしたい、役にたちたい。一貫した価値観のもと、笹子さんの挑戦は続きます。
〈Profile〉eMC2020年取得、東京都在住。CEAP2021年取得、IT企業にてコンプライアンス管理・リスク管理を担当。趣味はゴルフ・ドライブ・旅行。
頑張る人を応援するのが好きだった
IT企業のコンプライアンス部門で、リスク管理に携わっている笹子さん。人事から今の部署に異動したのが2020年の4月。それからの3年間はコロナ対応に追われていたそうです。笹子さんがEAPの学びを始めたのは、人事にいたときでした。
「今まで一番長く携わってきたのは、人材育成の仕事でした。もともとSEに憧れてシステム会社に入ったわけですが、以前は新入社員の研修は先輩社員がやっていたんです。会社の規模が小さいときは、そういうのが順番に回ってきて、自分も研修の先生をやっていたんですよね。そのうち、会社が育成の部署を立ち上げよう、ってなったときに、部長職の打診があったので、頑張ってみよう、やってみよう、って思って、人材育成に軸足を置くようになりました。
コーチングとか、元気のある人のスキルアップとか、頑張る人の支援は昔から大好きでした。新入社員が入ってくると、どんな人が来るかな、とか、カリキュラムのアレンジを考えたりするのが楽しみでした。新入社員が、できなかったことができるようになったり、スキルアップしたりしていく姿を見て、多少なりとも、誰かの何かの役に立てたかな、と感じると嬉しかったですね。
その後、営業などのジョブローテーションを経て、人事に戻ってきたときには、いわゆる本格的な人事の担当になりました。改めて人事のことを学びたいと思って、最初にキャリコンを取りました。生粋の人事になると、保健衛生のことにも関わるようになり、メンタル系の問題を抱える社員への対応も増えてきたので、EAPメンタルヘルスカウンセラーの勉強もしようと考えました。
今にして思えば、当時は病気を抱える社員に対して、あまり適切な対応ができていなかったかもしれない、という反省もありますね。メンタルの病気のことは、ちょっとかじって知っているようなレベルだったので。どういう病気があって、どういう療法があるとか、そういうところをまだ十分に把握できていなかったと思います。もし、今、同じシチュエーションになったら、もう少し違う対処ができるんじゃないかな、って思ったりしますね。
EAPの勉強をしたときに、ああ、あのときこうしておけば、もっと早く手を打てたかもしれないな、とか、あとでいろいろわかりました。
eMCの資格を取ったときは、すでに異動になっていたんですけど、コンプラ部門には、ハラスメントや内部通報を受ける窓口もあるので、現在の部署でも役に立つかな、って思っています」。
今の役割で役に立てるなら、なんでもやりたい
キャリコンとeMCの資格を取得してから、笹子さんの学びは、今にどう活きているのでしょうか?
「要素が2つあるな、と思っています。キャリコン的な要素で言うと、自分と近い世代の、年齢が高めの方たちが、これからどう働きたいか、どう生きていきたいか、という話を聴くようにしています。EAP的な要素だと、ストレスを抱えているな、ピリピリしているな、っていう部員には、『何か困っているの?』というように、声がけをするようにしています。やっぱり、何か困っている人がいたら、私にできることなら助けになりたいんですよね。
現在はマネージャーから外れたんですけど、マネージャーのような感覚は持っていたいので、後任マネージャーのことをサポートしたり、部員たちも今まで通りフォローしようと思っています。問題があれば解決しなきゃ、とか、よくしなきゃ、っていう使命感が今に繋がっているんじゃないかな、と思います。
会社での勤務も長いし、会社のことも人もよくわかっているので、言いやすい、っていうのもありますね。だから、今の会社の中での立ち位置、役割で、同じ部署の人たちの役に立てるんだったら、もう大いに私を使ってください、って感じですね。うるさいおばさんが何か喋っている、って思われるかもしれないけど、もう それでいい、って思っています(笑)」。
問題はここから先
2021年にCEAP(国際EAPコンサルタント)の資格を取得した笹子さんですが、問題はここから先、と言います。
「会社勤めもあと数年、終わりが見えてくると、自分のできることってなんなんだろうって考えますね。今すぐにカウンセラーやコンサルとして独立したい、というわけではないのですが、やっぱり、『知りたいことは、知りたい。知らないことがたくさんあって、まだまだ乾いているから、水を得たい』という感じですね。EMCAアカデミーの講座やCP(カウンセリングプラクティカム)などを定期的に受講していますが、まだまだ自分には知識が足りていないな、というのがありますね。
プラクティカムのスーパービジョンでは、毎回得るものが多いですね。ハッとするようなアドバイスを受けたり、それこそ直球がビュンビュン飛んでくる感じで(笑)。でも、一つひとつが学びになっているし、次の実践に活かせるものが得られるんですよね。
会社には、今後、保健衛生に関わりたい、という希望を出しています。資格も取りましたし、学びも継続していますので、それを役立てられる仕事ができるといいな、と思っています。具体的には、やっぱり、メンタル不調者や実際休職になってしまった人への対応ですかね。一律の対応ではなく、一人ひとりに合わせた休職プランとか復帰プランとか、そういうことがやれたらいいな、と思っています。
あとは、人材育成をやっていたというのもありますので、若い人の支援ができるといいな、と思っています。先輩や直属の上司には相談しにくいけど、現場を知らない人にも言いづらい、ということも結構あると思うので、そういうときの悩み相談、承ります、っていうのもいいかな、って思っています。現場のことを理解して、現場の力を高めていく、そんな仕事がこれから先できるといいな、って思いますね」。
西に困っている人がいると聞けば、自然体で声をかける、課題解決への足掛かりをつくる。東に悩んでいる人がいれば、相談に乗る。「社内のゴッドマザー」、ふと、そんな言葉が思い浮かんできます。
CEAP仲間・高橋弘明さんのバー「NEON FISH」で
心安らかに、楽しく健康で
笹子さんが大切にしたいこととは?
「心安らかに楽しく健康で暮らす、ということですかね。なんとなくなんですけど、心安らかに暮らす秘訣は、EAPの中にあるんじゃないかな、って感じています。
カウンセラーとして、いろいろな方の相談に乗り、悩みを教えていただき、傾聴を通してご本人の中にある答えが見つかって。人助けをしたい、なんておこがましいことではなく、乗り越えていくクライエントさんの姿を通して、自分の糧にもなっていくように感じます。EAPは、クライエントさんのためなのはもちろんですが、自分自身のためでもあるんですよね、きっと。心身が健康だからこそ、頑張って働こうとか、成長しようとか、スキルをあげようということに繋がっていくんじゃないかな、と思っています」。
大好きな宮古島のゴルフコース