EMCA設立10周年に寄せて

 来る2023年8月1日をもって本協会は2013年の協会設立以来10周年を迎えます。
また、同じく本年11月にはeMC資格認定試験が開始10年の節目を迎えます。会員も10名強からスタートして、この4月にはeMC正会員数で1000名、キャリア部会会員を合わせて3000名を超える規模の対人支援の専門職能集団として成長することができました。この間の会員の皆様をはじめ、関係者の方々の日々の協力に感謝すると共に、あらためて深く御礼を申し上げます。

 協会のビジョンは機関誌Cor(コル)の巻頭にも掲げていますように、「日本の社会にこころの健康セーフティネット」を構築するということです。そのセーフティネットを全国で担いメンタルヘルスケアを実践する人材をまずは養成すること、それがeMC試験を実施してEAPメンタルヘルスカウンセラーを養成している目的です。
 EMCAが認定する、EAPメンタルヘルスカウンセラー(eMC)は、文字通り「メンタルヘルスカウンセラー+EAP」であって、EAPの基礎スキルをあわせ持つメンタルヘルスカウンセラーを養成することが使命です。

 カウンセラー養成においては、EAPを取り入れることで単に個人支援にとどまることなく、個人が帰属する組織(職場、学校、地域そして家庭)への視点を併せ持った人材育成を心がけている点が大きな特色です。課題が個人を取り巻く環境にもあるのであれば、環境そのものにアプローチするスキルも必要だという考えです。
 このために協会では認定校のリカレントと共に、EAPの先進国である米国の国際EAP協会とのカリキュラム連携を実現して、世界標準のEAPコンサルティングプログラム*を2019年から提供しています。               *CEAP-I

 日本国内では2000年前後からEAPの導入が外資系企業を中心に進み始めましたが、認知度、これを担う人材、共に圧倒的にこれが不足したまま今日に至っています。EAPメンタルヘルスカウンセラーとEAPスキルを持つ人材を、今後1万人、10万人と養成するなかで、社会インフラとして定着させ、「誰もが良質のカウンセリングサービスに手軽にアクセスできる社会の実現」をめ目指して、今後とも会員の皆様と共に前進して参りたいと存じます。          

 さて今回、この10周年記念の「eMC100人の物語」に登場いただいた皆様、どうもありがとうございます。eMC資格を、身近な大切な人のために、社会や困っている人のために、そして、ご自身に十分に活かされている姿は、とても心に響くものでした。

 そして、このストーリーはこれから、もっともっと増えていくはずです。そのストーリーの一つひとつが、きっと誰かのこころを癒し、勇気づけ、前に進む力やヒントになることでしょう。
 EMCA会員のすべての皆様、これからも、ぜひ志高く、支援活動と学びを続けてください。
皆様のこれからに応援のエールを送るとともに、精一杯のサポートをさせていただきたいと願っています。

 

EAPメンタルヘルスカウンセリング協会理事長 松田 直之
2023年6月10日