安井 絹絵 
Kinue YASUI

製造メーカーの営業事務として勤続20年。人のこころに興味を抱いた日からは30年が経ちました。気になることにはひたすら突き進み、ストイックに打ち込む安井さん。現在、会社全体のメンタルヘルスを向上するべく日々邁進中です!

〈Profile〉eMC2021年取得、愛知県在住。メーカー勤務(営業部・主任)。トイプードルと同居。健康のため、毎晩ストレッチと筋トレは欠かしません。最近顔ヨガを始めました。

きっかけ

「製造メーカーの営業事務をしていてどうしていきなりその資格?ってまわりからは言われるんです(笑)」
笑顔でそう話す安井さんは、メーカーでの受注業務や電話の問い合わせ対応などを行う営業事務歴20年以上のベテラン事務さん。それだけ聞くと、確かにどうしてEAP?と思うのは自然かもしれません。何かきっかけがあったのでしょうか。
「いくつかのタイミングが重なったんです。一つはわたしの周りでメンタル不調の人が何人か重なったんです。特に印象に残っている出来事が、会社のビルの休憩室で他社の方から『私うつ病で復帰したばっかりなんだよね』と打ち明けられたこと。全く知らない人だったんですけど、その時にその方に何を言っていいのかわからなくて……。自分が言ったことで相手を傷つけてしまったり、もっと状態を悪くしてしまったらどうしようと思ったら何も言えなくなってしまって、『そうなんですね』『お体気をつけてくださいね』って言葉を10回くらい繰り返し言ってたと思います(苦笑)。『知らないってこういうことなんだ』って。もう一つがの今後の自分のキャリアのこと。今の業務内容のまま退職まで働くと思ったら不安がありました。DX化が進む昨今、自分が60歳、65歳になったときに私の業務ってあるのかなって…。そんな頃にEAPのカウンセラーというものを知りました。もしかしてこれが私のやりたいことなのかな!?って思って。すべてが繋がった感じがしました」。


愛犬と

人のこころって面白い

メンタル不調に悩んでいた人が周りにいたことや、今後の自身のキャリアを考えた結果がEAPの資格取得に繋がりました。そんな安井さんは、実は小学生の頃から心理学に興味を持っていました。
「小学校5年生頃から心理職には興味がありました。当時の担任の先生がとても良い先生で、思春期で色々考え悩む私にちゃんと向き合って話をしてくれたんです。そのとき私は『そういう考え方もあるんだ!』って思って。いわゆる『気づき』を得て、子供ごころに『人の言葉って響くと人を変えるんだ、人のこころって面白いな』と思いました。このとき、人と話をして気持ちが楽になるという経験をしたので、こういう仕事って素敵だなという思いが大人になってもずっと残っていました。だからEAPの資格を見つけたときは、『そうだった!私これに興味あったんだ!』って嬉しく思いましたね」。

学んでみて変化したこと、今ここ

子供の頃から人の言葉に耳を傾けることができた安井さん。
「実際にEAPを学んでみて、人から相談されることが増えました。メンタル不調の相談をされたり、キャリアコンサルタントの資格も取得したので、キャリアの相談もされたり。自分の話の聴き方が変わったのかなと思います。前の自分だったら『そうなんだ、大変だね』で終わっていた会話が、勉強した後では『どうしてそう思うの?』『こういう見方はできない?』と尋ねるようになって。見え方が増えたんですよね。もし会社の休憩室で以前お会いした休職明けの方と今、会えたのなら、きっと落ち着いてお話を聴けるんじゃないかと思います。今の自分で出会いたかったな(笑)。
現在は会社でメンタルヘルスやコミュニケーションについての勉強会もやるようになりました。資格を取ったことを上司に伝え、勉強会をやりたい意向を伝えたんです。半期で2回ずつ、年に計4回の勉強会を行い、今年で3年目になります。私が学んで勉強になったことを共有する、というスタンスでやっているのですが、資料作りが楽しくて。どうやったら伝わりやすいかを考え、自分の会社のエピソードに事例を置き換えるなど、社員の方がよりわかりやすいように工夫しています。勉強会でみんなの表情が『あぁ!なるほど!』と変わると楽しいし、勉強会をやって良かったというやりがいにも繋がっています。
でも、自分が勉強をしたことで周りの人の言動が気になってしまうこともあって……。『こういうコミュニケーション方法や傾聴のやり方をするといいよ』と私が学んだことを共有しても、イマイチ響かない人もいる。私の説明がもっと上手だったら伝わるのかな、と頑張っている部分もあるのですが、『相手に興味を持ってもらう』というところが難しい、苦労するなって思います。勉強会の後には必ずアンケートを配り、次の勉強会に活かせるよう意見をもらっています。勉強会での話し方や伝え方はリカレントの講師の先生たちをお手本にしていますね。自分がリカレントに通っているとき『人を惹きつける話し方だな、例え話がとてもわかりやすいな』と感じ楽しく授業を受けていたので、先生たちのような話し方ができるよう現在勉強中です」。

勉強する楽しさ

「自分は結構ハマるタイプで、気になることがあるとひたすら突き進み、ストイックというか、掘り下げたくなります(笑)。リカレントで勉強したことで、勉強する楽しさを思い出しました。最初は覚えることもいっぱいで、きついなって感じていたんですけど、自分のなかでルール決めをして、メリハリをつけて勉強に打ち込みました。勉強したことによって見えるものが変わるなと思います。例えばテレビのドキュメントを観ていても、以前はふーんで終わるものが、勉強したことで『これはこの人のストレスコーピングかな』とか考えたり。自分の生活が前よりも豊かになりました。
自己研鑽としては、積極的に人と繋がり情報を得て学ぶようにしていますね。授業でお世話になった先生からは資格や研修などいろいろな情報を教えていただけるので、教えていただいたらすぐに自分で調べて勉強していますね。最近だと心理相談員について教えていただき、その資格を取得しました。他にもリカレントで共に勉強した仲間と情報交換をしています。誰かと繋がることでさまざまな情報が入ってきます」。

今後のビジョン

「ゆくゆくはEAPを活かしていける方向にシフトをしていけたらと考えています。グループ会社の子会社に所属し、はじめは自分の部署で勉強会をしていましたが、親会社の方でも勉強会をやってほしいと今話がきています。親会社の総務人事部の部長と話す機会も作れて、直接私がやっていきたいことを伝えて、今後本社にいる看護師と連携してメンタルヘルスをやっていこうという話にまでなりました。今まで会社の仕組みになかったことなので、これから始めようとしているところで大変だと思いますが、ひとまず今、自分ができることをしっかりやっています。振り返ると、自分の考えに対して私は正直に生きてきたのかなって思います。自分がこう思う、というのは必ずしも人が同じように思うことではないから、自分のなかで大事にする、というイメージ。カウンセリングとか人のこころに興味があるっていうのも、考えたら30年前に思ったことで、ある意味大事に温めてたことなんだなって。自分が思っていることを大事に守っていきたいですね」。
子供の頃からの興味を着々と形にしている安井さん。自身が思い感じることを大切に、これからも邁進していきます。