佐藤 優理
Yuri SATO

大手製造系企業にSE/営業として勤続30年以上。リカレントでキャリアコンサルタント・eMCのダブルライセンスを取得。企業人として長年の勤務経験のある彼女は、常にポジティブな思考を忘れず、前へ前へと向かって走り続けています。

〈profile〉eMC2020年に取得、東京都在住、IT企業のAIアナリティクス部門&ライフキャリア支援部門に所属。赤ワインとヨガが大好きです!

何もできなかった自分

 大手製造業系企業にSE/営業として入社した佐藤さん。入社後は、「育児休職制度導入」「コンサルティング事業部設立」「戦略室設立支援」「AIアナリティクス事業部」等、新しい取組みに数多く携わってきました。なかでも、コンサルティング事業部では300社以上の企業に出向き、それぞれのカルチャーを体験し、大切にしながらコンサルティング業務に取組んできました。そんななか、今に繋がるこんな体験がありました。
「転職してきた才能ある若手がメンタル不調に陥ってしまった。でも、見ているだけで何もできない。自身の無力さに苛立ちを感じました。ちょっとした気づきを教えてあげたい、ポジティブな思考になるためにはどうすればいいのか。気軽に相談できる環境を作ってあげるためにどうすればいいのか、と物事をポジティブに進めるべき自分自身が、どんどんネガティブ思考になっていることを実感していました」。

「アシュタンガヨガ」との出会い

 佐藤さんは、そんなとき『アシュタンガヨガ』と出会います。ヨガ好きでいろいろなスポーツジムやヨガスタジオに出向き体験するなかで「動く瞑想」といわれるアシュタンガヨガを知り、心身の新陳代謝を促進するヨガに魅了されます。
 アシュタンガヨガは、数あるヨガの流派の中でも、ダイナミックでエネルギッシュなヨガ。ポーズの練習に規則正しく励み、生活の中でアシュタンガの哲学を意識した行いをすることで、自身の感覚が研ぎすまされ、集中力が高まり深い瞑想に導かれていく。それが心身の健康を高め、自己実現への道に大きな実りをもたらす、という教えをもっています。
「ネガティブ思考に陥ったとき、動く瞑想、といわれている『アシュタンヨガ』と出会えたことは大きかったです。自分自身が発想の転換をするきっかけになりました。それ以来、離婚などの辛かった当時のことを忘れないためにも、9年間、毎朝2時間の鍛錬は欠かしたことはありません」。
「アルバート・エリスの原理に出会えたことも大きかった」と佐藤さんは言います。アルバート・エリス(Albert Ellis,1913-2007)は、心理カウンセラーなら誰もが知る臨床心理学者で、論理療法の創始者です。
「論理療法から、認知は感情・思考を決定する、自身の捉え方次第だということを学びました。自分は失敗すべきじゃない、物事は思い通りになるべきだ、他者は自分に最高の満足を与えてくれるべきだ、といった[べき思考]を持っていると、自分が苦しくなるだけ。べき思考はいけないんだ、とあらためて気づかされ、腹落ちしましたね。今でも論理療法の研修や講習会によく参加しています」。

キャリアコンサルタントと相談室

 自身の心と体が鍛錬されたことで、社会や人に役立つ仕事を続けたい、という思いが一層強くなった佐藤さんは、2018年、リカレントでキャリアコンサルタントの資格を取得します。
「学びの過程において、3つの重要な領域があることに気づきました。それは[人間関係][キャリア][メンタルヘルス]の3つです。人は生きている限り、この3つの領域から抜け出せないと思うのです。そんなことからキャリアにとどまらず心理学やメンタルヘルスの知識も必要と考えて、『EAPメンタルヘルスカウンセラー』『産業カウンセラー』『ファイナンシャルプランナー』と、資格を取っていきました」。
 資格を取得取したからにはやはり実用したい、活かしたい、という思いを抱いた佐藤さん。持前の行動力と情熱で周りを巻き込んでいき、2022年に部署内に「相談室」を開設します。
 「働き方改革を掲げ、多様な人材が集うイノベーションを追求する会社を目指し、生産性向上とWell Being実現に向けた、リアルとオンラインが融合した仕事のプラットフォームの再構築を目標として、職場の上司や同僚に働きかけて相談室を開設しました。
 相談室は、リカレントで学んだことやEAPメンタルヘルスカウンセラーで学んだことを活かして、『上司やグループメンバーには少し言いずらい問題や悩みを相談してみませんか?』『相談・話すことで新たな気づきの発見をしてみませんか?』を謳い文句として、自分自身もカウンセラーとしての活動を開始しました。
 現在はコーチング資格も取得し、さらなる自己研鑽を継続しています。

子どもの頃からの夢へ着実に

 AIアナリティクス事業部門の上席プロフェッショナルと「相談室」でカウンセラーをしながら、して、二足の草鞋を履いている佐藤さん。
「AI適用コンサルティングの遂行や、IOT機器(センサー)とクラウド基盤を使用した『ペットとLINEで話せる』という新サービスにもチャレンジしました。
 センサーでペットの活動量を収集し、AIで振る舞い分析を実施し、ペットの状態をAIで判断し、言葉におき変えるという仕組みです。実は、子どもの頃から動物、特に犬、柴犬が大好きで、将来は獣医になりたいと思っていた時期もありました。
 子どもの頃に興味があった動物に関わる新サービスにチャレンジできたことは、自分の価値観に合ったキャリアにも繋がり、自分自身の思いである、『社会・人の役立つ仕事や役割を継続したい』に、少しずつに近づけていると思います」。

それぞれの価値観を大切にして

「自分自身の強みは、会社員としての長年のキャリアや労務経験です。その強みを活かして、悩み解決もそうですが、対話を通じて新しい価値を生み出していくことに尽力していきたい。自分も仕事が支えになってくれた経験を踏まえて、『価値観が合う仕事は幸せをもたらす』と思っているんです。
 クライエントの状況に応じて、必要なものがコーチングなのか、カウンセリングなのか、キャリアコンサルティングなのか、置かれている状況や価値観は人によって異なるので、そういったところをしっかり見極めながら、一人ひとりに適したテーラーメイドな寄り添い方ができるキャリアコンサルタントを目指して頑張っていきたいです」。
 アシュタンガヨガを9年間、毎朝2時間欠かさずに鍛錬できる……そんな並々ならぬ精神力を持つ佐藤さんに、きっとできないことなんてありません。新しい価値観を生み出す何かに向かって、佐藤さんのチャレンジは止まりません。