伊藤 恵美子
Emiko ITO

企業で人事を担当し、管理職も経験。昨年から、これまで培った経験を活かし、大学にて相談員として勤務している伊藤さん。その傍ら、より一層専門性を極めたいと考え、通信制の大学にて心理学を勉強中。その他、社会貢献活動にも注力しています。

〈Profile〉eMC取得1年、茨城県在住。大学キャリア支援センターで相談員。夫、ミニチュアピンシャー2匹と同居。趣味はゴルフ、スポーツ観戦。

EAPを学ぶきっかけ

 長年、企業で人事業務に尽力した伊藤さん。人事では採用や人材育成、労務対応・休職復職対応など、幅広い業務を担い管理職も経験しました。現在は人事での経験や資格を活かし、昨年の1月から大学のキャリアセンターで相談員の仕事をしています。
「前職では人事部に所属していたので、人事業務などに役立つと思い、最初はキャリアコンサルタントの資格を取得しました。でも、人事の仕事をしていくと、メンタル不調の方の相談の他にも、さまざまな相談ごとなどを受けることが多くなって。例えばですが、発達障がいをお持ちの社員のフォローや支援もし、実際業務で関わる上司の方のフォローもします。
知識がないと対応の仕方がわからないですよね。EAPの勉強をすることによって、対応の仕方を学ぶことができました」。

一つひとつの仕事を
丁寧にできる環境へ

 企業での人事時代は忙しく充実していたなか、なぜキャリアをチェンジしようと思ったのでしょうか。
「仕事はとても充実していたのですが、当時は管轄の業務だけでなく、他の部署との連携や経営陣との連携もあるので、毎日忙しすぎて仕事をこなすのに精一杯でした。部下が成長して業務が一段落したことや、子どもが独り立ちして家庭が落ち着いたこともあり、資格を活かして一人ひとりに丁寧に対応できる環境で働きたいと考えました。たまたまタイミング良く大学のキャリアセンターの相談員の募集があったので、思い切って応募したところ受かったため、思い切ってキャリアチェンジしたんです」。


職場にて

コロナ禍での学生相談

 仕事は丁寧に誠実に向き合いたいという信念のもと、キャリアチェンジをした現在、どのような環境で仕事をしているのでしょうか。
「人事時代は多忙で、一つひとつの仕事に向き合う時間がありませんでしたが、今は学生一人ひとりに丁寧に対応することができて、嬉しいです。相談員として対面やリモートでお話したり、面接練習、書類の添削など行っています。就職活動の段階になっても将来のことが決め切れない学生が多くて、もともと親の勧めで進路を選んできた場合などは、やりたいことがわからないと悩んでいる学生もいます。基本的には学生自身に進む道は決めて欲しいので、あまり『こうしてみたら、ああしてみたら~』と言わないようにしているのですが、『頑張りなよ』と、背中を押さないと前に進めない子には少し押してみたりと、一人ひとりに合わせた対応をしています。
 なかにはメンタル不調で通院している学生もいます。コロナ禍だったこともあり、入学してから授業やサークル活動、バイトもなかなかできなかったことで友達もできず、相談する相手もいないため、鬱々としている学生さんもいました。どうすることもできないですが、可哀そうですよね。メンタル不調の学生さんへはより慎重な声がけや、リファーするなど、適切なフォローを常に心がけながら、それぞれの気持ちに寄り添って支援をしています。
 振り返ってみると、まず、相手の話を丁寧に聴くようになりました。俯瞰して自分を見るように意識しているのですが、実際はとても難しいものですよね。だから、後で振り返ったり、反省したりすることもよくあります。もう少し後押しした方が良かったかな~とか、ここはもう少し聴いたほうが良かったかな~、など、正解がない仕事だけに、常に振り返りをしています」EAPを勉強して基本的に少し人に優しくなったように思います。


心理系の専門書がいっぱい!

社会貢献していきたい

「実は去年から通信ですが大学の心理学科で学び始めました。相談員の仕事は仕事というより、日々実践として勉強している感じです。今までもキャリアコンサルやEAPメンタルヘルスなど学んできましたが、もっと広く深く心理を学びたいという思いから、学び直しをしているんです。今、流行りのリスキリングですよね。できれば、公認心理師を取りたいなと思っています」。
 仕事をしながら大学で勉強するほどの向上心の源はどこにあるのでしょうか。
「たまたま今の仕事をしているツテで、保護司をやらないか、と話をいただいて。犯罪・非行をした人々をサポートするという専門性の高い仕事のため、大変なことも多いと思いますが、チャレンジすることにしました。支援する側にもリスクがまったくないとは言えませんが、何よりも誰かがやらなきゃいけないことですよね。
 犯罪を犯した方の更生の場も必要不可欠だと思いますし、更生していくことで自分たちの安全にも繋がります。自分自身も成長するし、社会貢献していきたいという想いが強いですね。そのためにも専門知識は必要だと思っているので、現在はしっかり学ぼうと思っています」。

失敗したとしても

 前に進み続ける伊藤さん。どのような思いが伊藤さんを突き動かしているのでしょう。
「基本的には、やらない後悔よりもやって後悔したほうがいい、と思っています。気になってるならやってしまえ! という気持ちです。失敗したとしても必ず何か得るものが自分の中に残るはずだから、チャレンジするに越したことはないと思うのです。
 実際、心理学に興味を持ったことで、リカレントで勉強を始め、仲間や友人が増え、新たなキャリアにも進めました。一歩踏み出すことは勇気がいりますが、必ず自分の世界も広がると信じて、チャレンジし続けていきたいです! 皆さんも、一緒に学んでいきましょう!」