齋藤 正登
Masato SAITO
長年、製造・技術開発の分野で経験を積まれてきた齋藤さん。人材育成にも興味を持ち、eMCの他にもキャリアコンサルタントや衛生管理者、大学院にも通って臨床心理士の資格まで取得しました。現在、人事部長として日々奮闘中です!
〈profile〉eMC2016年資格取得。その後働きながら大学院へ通い臨床心理士、公認心理師取得。さいたま市在住。企業の技術→人事部長。3女の父。スクール応援団副団長。趣味フットサル
ものづくりから人材育成へ
「人事部長の仕事がもう本当に大変で、大変で。四苦八苦しながら頑張っています(苦笑)」
困ったように笑いながら言う齋藤さん。穏やかな笑顔を浮かべ、理路整然と話す姿は、まさに[デキる人]そのもの!という雰囲気です。
「もともと自分は人事畑の人間ではないんです。働き始めて26年目になりますが、ずっと製造や技術開発、研究の分野で働いてきました。就職した頃は物作りの専門家になりたいと思っていたんです。人材支援については30代後半までは考えたこともなかった。
ただ、チームでモノを開発する時に連携してみんなでやることにやりがいは感じていました。本格的にそう思うようになってきたのは、ものづくりのミッションが一区切りついたとき。自分の中でやりきった感じがあって、自分が今後は何がやりたいのかなと考える機会があったときに、『パフォーマンスを上げたり、メンタルが落ちている人のケアをしたり、そういう勉強をしてキャリアシフトしていきたい』と思ったんです。それが7~8年前のことで、リカレントには、そのタイミングで通い始めました」。
臨床心理士へ・今ここ
eMC資格の他にも、齋藤さんはさまざまな資格を取得しています。キャリアコンサルタント、メンタルヘルスマネジメント検定Ⅰ種・Ⅱ種、衛生管理者、そして、働きながら大学院に通い、臨床心理士と公認心理師の資格も取得!
「正直とても大変でしたね(苦笑)。けど、eMCを取得したときに『もっと体系的に学びたい』と思い、臨床心理士の資格を取ることを決意しました。
大学院に通っていた期間は、第2の青春だなというくらいに情熱的に取り組みましたね。平日は会社で普段通り働いて、帰ってきたらネットワークで意見交換を学生同士でしたり、レポートを書いたり。土日はスクーリングと病院や研修センターでの実習があり、寝る時間は毎日夜中の1時2時を過ぎていました。だからといってその大変さを会社や家族に言うわけにもいかなくて。自分で選んでやっていることですからね。
ただ、確かにすごく大変だったんですけど、めちゃめちゃ辛かったという感覚はなくて、むしろ満たされるというか……。自分の中には『大事なパズルが組み上がっていく充足感のようなものが強くあったので。あと、心理学の勉強を進めていくなかで『とはいえ、こんな生活しんどいよね。いくらなんでも擦り切れるわ!』っていうようなしんどい思いも素直に認めることができるようになりました。
大学院の仲間ともそういう思いを含めて共有することができたので、それがすごく良かったです。これはリカレントに通っていた頃にも共通してますね。今でも仲間達とは繋がっていて、意見交換したりしています」。
情熱的に取り組んだ心理臨床の学び
登り方はいろいろでも
頂上は一緒
「自己啓発的なものには昔から興味があって、独学で本を読んだりしていましたが、実際にちゃんと体系立てて学び始めると、どんどんピースがはまっていくような感じがして、とても面白かったですね。初めて知ったことも本当にたくさんあって、『今まで自分の感覚でやったり思っていたことに、ちゃんと確証があるんだ』という安心感というか、後押しされるような感覚がありました。
今の仕事に活きてることは、『自分と他人は違う』という大前提に立って、関係性を捉えられるようになったことですね。昔はどこかで、他人の考えてることと自分とは一緒の部分が多いだろうって、無意識に思っているところがあったと思うので。そうすると、他人の違う経験が、自分の似たような経験にすり替わってしまって、本当はわかっていないのに、わかったような気になってしまったり。
なので、あらゆる場面で『私はこう理解しましたけど合っていますか?』と自然に聞けるようになったことは大きいと思っています。学ぶ以前からもやってはいたんでしょうけど、意識的ではなかったので、学ぶとやっぱりそこが効いてきますよね。
今、さまざまな学会に入っていろいろ学んでいるのですが、そのあたりが上手く融合していって、自分らしくやれるといいなと思っています。心理学を学んでいろんな心理療法と出会い、一度混乱を経たあとに、『自分はこの療法に関心があるな』と思ったら、そこから始めるといいと思うんです。
よく登山で例えられるんですけど、『登り方はいろいろあるけれど、頂上は一緒だ』っていう。心理学もまさしくその通りだと思うので、これからEAPや心理学を学ばれる方にヒントになるといいなと思います」。
自分の身体の感覚を信じる
会社ではいきなり人事部長になったわけではなく、3年ほど前から技術開発部と人事部の管理職を兼任。資格の勉強などをしていることを知った上層部から、それをやるなら人事部に在職したほうがいいと引っ張り上げてもらったという齋藤さん。人事部長の仕事が大変!という一方で、生き生きとしたエネルギーに溢れています。
「苦しいときでもやるからにはハッピーな状態をイメージしながらやるようにしています。なるようにしかならん、といいますか(笑)。必要な行動をしていればいいほうに転ぶだろうと思うようにしていますね。
あとは、『フォーカシング』のトレーニングのおかげかもしれないですね。現在、国際フォーカシング研究所という学会のトレーナーになる訓練生として、1年くらいそのトレーニングを受けています。(まだまだ途上ですが)
一部を簡単にいうと、自分の身体の奥底には、自分にとって意味のある未来を精密に志向するフェルトセンス(以下FS略)が存在していて、それは言葉になる以前の「……」を伴う、ボンヤリとした身体感覚として日々現れてきます。
私も必死に毎日を過ごしていくなかで、時折、それらのさまざまなFSを素直に感じて気づいておく時間をとっていました。胸の真ん中あたりに現れる自身のFSを、まずは優しく受け止めて、否定せずにそれぞれの適度な距離で持って扱っていくのですが、おかげで自分の身体の感覚を以前より信じられるようになりました。
昔は頭でっかちで、理屈にがんじがらめになっているようなところがあったのですが、自分の直感が少なくとも自分にとっては一番正しいんだなと、素直に行動することができるようになった気がします。それが源泉になっているかと思います。あとは、松岡修造さんと同じ誕生日だからですかね!(笑)」。
日々の中でFS(フェルトセンス)を素直に感じて気づいておく時間を持つ
自分だからできる「なにか」を
「定年した後のことも含めて長い目で見たときに、人材のパフォーマンスなどを支援できる仕事をしていきたい。ものづくりの現場からは産業経験、大学院時代には医療や学校の現場にも携われたので、医療経験やスクールカウンセラーなど、『定年レス』でいろんな支援ができるようになっていきたいなと思っています。自分だからできるような『なにか』っていうのを、今の仕事を頑張りながら将来のことも見据えて、頑張っていきたいですね。
あと、実際はまだまだ企業には心理のサポート体制が入っていないと思うんです。現場を知っている自分だからこそ現場に通用するやり方を見つけたいな、と。
そして、今の会社でのポジションである人事部長は本当に幅広くいろんな業務をこなさなければいけないので、本当に大変なのですが(笑)、今後そういう役職に就く方の支援をする場合に、この経験が役立つんじゃないかなとも思って、今の仕事に奮闘しています!」