森 真弓 
Mayumi MORI

動物病院でマネージャーとして勤務する森さん。向上心を絶えず持ち続け、一緒に働く人達がより働きやすくなるように細部まで配慮しています。飼い主さんと動物にもしっかりと寄り添って、優しく気配りされていることが伝わってきます。

〈Profile〉eMC2019年取得、愛知県在住。動物病院の総務部マネージャー、人事からイベント運営まで幅広く担当、愛玩動物看護師、得意分野は猫。趣味は読書とカメラ、地域の手話サークルに所属。

動物病院のマネージャーとして

 森さんは愛知県の動物病院に、総務部マネージャーとして勤務しています。
「地域では一番大きい規模の動物病院です。病院は2ヵ所あり、従業員は約35名が勤務しています。今までは現場の医療従事者として働いていましたが、4~5年くらい前から現在の役職に変わりました。労務人事や採用活動にも携わっています」。
 忙しく活躍している森さん。最初から動物医療を目指していたわけではないそうです。
「動物はもちろん好きですけど、大学は文学部を卒業していまして。たまたまこの病院の求人を見つけて、面白そうだし、いいなっていう感じで。それから今に至ります。
 最初は受付事務から始まったのですが、受付でも飼い主の方からいろいろと聞かれたり、予約の電話を受けるときには、こういった症状だけど、緊急性はありますかみたいなことを聞かれたり。思っていた以上に知識が必要だったのです。それで自分で勉強して、動物看護師資格を取得して、現場も務めました。今年、愛玩動物看護師という国家資格ができましたので、その第1回試験にも合格しました」。
 積極的に学び、新しい資格にもチャレンジする森さんから、熱い向上心が伝わってきます。

向こうに勤めている動物病院

焦りがドライブになった

「動物の命に関わる仕事ですから緊迫感はあります。夜間救急も行っている病院なので、仕事が不規則ですし、結構ストレスとか体調管理が難しい現場だなと思います。
 マネージャーになってから、一体何ができるんだろう、この場所で必要とされるために何かしなきゃっていう焦りがありました。ちょうどその頃病気になって、メンタルが不安定に。皮膚疾患もあって、将来どうなってしまうのだろうと。何か自分の核となるものがほしいと思って、それもやっぱり焦りですかね。それからいろんな資格を取りました。  メンタルヘルスマネジメント検定もその一つで、Ⅰ種まで取得したのですが、受験会場でeMCを知って。カウンセリングや心理学にも興味があったので、説明会に行ったのがきっかけです。eMCは私のやりたいことや知りたいことにマッチしているというのと、やる気があるときに勉強しようと思って。授業は対面式で、他の受講者とお喋りするのがすごく楽しくて続けられました。さまざまな年代や立場の人とも話せて、気が楽になったっていうところもあります」。

かわいい患者さん

私ができること
やるべきことをやろう

「eMCの勉強を終えて、現場に活かせるまでには時間はかかりましたが、話の聴き方が変わったら、『聴いてもらって楽になった、ありがとう』と後輩の子に言われたことがあって。言われると嬉しいですし、無駄じゃなかったと。
あと、自分自身を客観的に見られるようになって、自分の感情に振り回されなくなりました。ホルモンバランスが不安定なときがあるのですが、そういうときには、今はしょうがないと向き合えるようになって。以前は自分の負の感情を隠すとか、周りに対していい子でいるみたいなところが常にあったので、そういったことが解放できて、格段に楽になりました。周りには、雰囲気が変わったと言われます」。
 周囲にも、自分自身にも学んだことが活かせている森さん。まだまだ学びは続きます。
「EAPコンサルティングコースを去年受けてから職場での立ち位置や考え方がしっかりして、もっとやりやすくなりました。それまでは個人を支援しようとしていたのですけど、一人を救ったところで周りが不幸になっていたら組織としてはうまくいかない、組織全体に働きかけなきゃいけない。その辺が学べてよかったです。  修了試験では今の職場に対するプレゼン資料を作ったんですけど、今年はその内容の研修を職場でやらせてもらえます。
職場では人間関係がギスギスすることはどうしてもあります。コンサルティングコースでは、他の受講者も同じような悩みを抱えていて、仕方がない部分はあるんだなとわかって、すごく肩の力が抜けて。今の立場で私ができること、やるべきことをやろうっていう感じに切り換えられました」。

気分転換できています

 マネージャーとしても多忙な森さん。気分転換はどうしているのでしょうか。
「本が好きで、読んでいるときはリラックスしていますね。あとは、写真を撮るのも好きです。昨年、ミラーレスカメラを買いまして、お気に入りの公園で撮った風景写真が好きですね。
 他には、5~6年前から手話サークルに入って、みんなとお喋りしています。同級生の家族がろうあ者で身近だったことがきっかけで地域の手話講座に通い、面白かったので、今も続けています。
 自分ではあまり積極的な性格だとは思っていなかったのですけど、振り返ってみると、あちこち活動して、じっとしているのが苦手なのかもしれないですね。職場だけだと、そこでうまくいかないときに、どうしても抜け出せなくなってしまいますので」。

ミラーレスカメラで撮ったお気に入りの風景写真

「やりたいと思ったらやろう」
のこれからへ

「今興味があるのは、グリーフケアです。動物医療従事者向けのセミナーを受講したのですけど。飼い主さんに寄り添いつつ、飼い主さんと一緒にそのペットに向き合っている感じです。
 病院に以前から通っていた飼い主さんの猫が急な最期となったときに、飼い主さんとお喋りする時間がありました。ちょっと愉快な猫で、スマホの動画を見ながら、こんなことあったねとお話して、最期は笑顔でした。後日、飼い主さんが『あのとき一緒に笑って思い出を語り合えたから、楽しい子だったと今でも笑って思い出せる』と言ってくれて。悲しい思い出にならず、ありがとうという思いが残っているというのが、すごく良かったなって。グリーフケアって大事だなって実感しています。
 あとは、従業員の人たちが働きやすい職場にもしていきたいです。いろいろとやりたいことがあって。もともとやりたいことはどんどんやるタイプだったのですけど、講習の先生からの『人生は早い者勝ちだよ。手を挙げた人のところにボールが飛んでくるんだよ』というお話が心に残っていて。やりたいと思ったら、ちゃんとやりたいって主張しなさいって言ってくれたような気がします。それで、やりたいと思ったらやろうと。まごまごしていたら、他の人がやってしまうかもしれないですよね。
 これからもっと多くのことに興味を持ったり、別の道に行ったりすることもあると思うんですけど、自分の心に素直にやっていきたいと思います。自分ができることをしっかりやって、きちんと表現していく。見栄を張ったりしないで、着実にやっていきたいです。
 きっといろんな勉強をしたり、いろんな人に関わったりするなかで、自分の中の焦りが消えたんだと思います。それがゼロになるわけではないですけど、続けていくことで周りにも信頼されて、それが自信に繋がっていく。自分自身をちゃんと受け入れられるかなと思います」。