勝野 弘美
Hiromi KATSUNO
現在はクラウドシステムをもつ会社でマーケティングに携わっています。。2018年にeMC資格を取得。勝野さんは、人の話を聴くことを大事にして、今なお自身の活躍の場を探して前進する、力強いママさんでした。
〈Profile〉eMC2018年取得、東京都在住。人事系企業のマーケティング担当。夫、高2中2の息子2人の4人家族。今の趣味は筋トレ。
人に携わる仕事がしたくて
現在の会社へ転職したきっかけは、子育てなどのライフステージの変化。そして、eMC資格取得後に人に携わる仕事がしたいと感じたからでした。
「今の会社は2020年から勤めています。今までマーケティングらしきものをやってきた経緯がなくて、いろんな魅力的なサービスのコンテンツとかを充実させて、そこにWEBからアクセスする方に対してサービスの紹介をしながらお客様を集めるところを、これからやろうとしているところです。そういったホームページがなかったわけではなくて、あったけど、よりわかりやすいものにしようっていうところですね。
あとは、今まで割と少人数で機動力をもって動いてきた会社なんですけど、ちょっと規模が大きくなってきたので、社内の整備みたいなものに、いつのまにか片足をつっこんでる、みたいな(笑)」。
整理していなかったものを
立ち上げる仕事
「EAPを学ぶきっかけはですね、前職で数名の部下がいる管理職ではあったんですけど、簡単に言うと結構いっぱいいっぱいになって。そのときの自分が任されていた仕事も、社歴は長いのでいろんな部署にはいたんですけど、未経験の業務の部署で。周りの課の人もちょっとベテラン勢が抜けてしまった後で、『不安、どうしよう』みたいな感じで。家は家で育児とかもあって。なんかこう、いっぱいいっぱいになってしまって。別に病院に行かなきゃ、とかいう感じでもなかったんですけど、一回誰かに聞いてもらいたいと思って、心療内科に行ったことがあって。
そのときに先生に率直に話をしたときに、なんていうんでしょうね……。『いやぁ、そんな全部やるの無理だよね~』って言ってもらって。あぁやっぱりそうだよねって。そこから自分で考え方を変えることができた。私が単純なのかもしれないですけど(笑)、1回行っただけでよいほうに転がれたので。そういうきっかけになれるっていいなと。そんな簡単なことじゃないって学んでからわかったんですけど(笑)。自分のそういう体験が一番ですかね、きっかけは」。
心療内科の医師の一言で考え方が変わった勝野さん。そのきっかけの以前とは、どのように変わったのでしょうか。
「以前は気持ちというよりも身体症状ですかね。めまいとかがすごくて、なんか今、思うとおかしな状態。本当にめまいで会社から帰れなくなってタクシー乗ったりとか。そんな状態だったので、やっぱり今、思うと、勝手に思いつめて……。本当にいっぱいいっぱいだったんだろうな、って感じはしますね。私は人に相談とかあまりしないタイプだと思うんで、自分で病院にかかることを決めて。やっぱりちょっとマズいな、って思ったんでしょうね。あまり覚えてないんですけど(笑)。
医師に『無理だよね』と言われたとき、自分的にはあまり無理とかいう発想がなくて。女性の先生だったんですけど、本当に絶妙な共感というか。大げさでもなく普通に『無理でしょ』みたいに言ってくださったときに、そうだよね、無理だよね、って気づかせてもらった感じかなぁ。それがすごくパァン!っていう感じで。無理なものはこぼしちゃえばいいんだぁ、みたいな。なんかそういうふうに思えたかもしれないですね」。
結局1回行って、ただ話を聴いてもらっただけで、大きく気持ちを変えられたという体験が衝撃でした。(EAPを学んだ後で考えると、それは「ただ聴いてもらっただけ」の体験ではなかったのだな、とは思うのですが!)
良いほうに転がるきっかけを
勝野さんは、セカンドキャリアの観点からも自分のスキルアップを目指して進みはじめました。自分の知らなかった新しい領域で感じたこととは、何でしょうか。
「純粋に私、人の話を聴くのが多分あまり得意じゃないと思うんですね。リカレントで人の話を聴くということを純粋に学んだっていう気がすごくします。話を聴くときに間主観性を意識できるようになってきた瞬間が前より多いかもなって感じます。
あとは、やっぱり、仕事上のコミュニケーションで、私はすごく人の話を聴いていなかった、自分の言いたいことだけを言っていたのかも、と思いました。そこを直すようにっていう意識づけはできるようになったかな。きちんとできているかはわからないですけど(笑)。
これも難しいんですけどね、まずは聴く。1対1で話しているときは当たり前ですけど、聴いて1回受け止めて、『あ、○○なんですね』みたいに伝え返す意識は持っています。あとは、数人で会議をするときに、私、進行役として入ることが多いんですけど、そのときに、その人が言いたいことって何だろうっていうのを拾うようにしています。『○○さんが仰ったことはこういうことだと思うんですけど』みたいなのをなるべく挟んで、みんながそれを拾えるようにしようとはしています」。
まずは自分と家族に
そして周りに
勝野さんが学んだEAPは、仕事でも育児でも効果を発揮するものでした。
「何より本当に、自分自身を知ることができた。そして、育児に、子どもとのコミュニケーションにとても活かすことができた。発達心理学的な観点でコミュニケーションを学べたっていうのはすごく大きいです。それを知らなかったら、子どもに良くないコミュニケーションをとっていたかもなって思います。
資格を取得してから2年後くらいから、ちょうど長男が中学生という難しい時期に入りました。詳細は書けないのですが(笑)、本当にいろいろと大変でした。もしも、発達心理学やエリクソンの発達課題を学んでいなかったら、息子の言動に心配して干渉しまくって、息子を壊してしまっていたかもしれません。
『彼は今、彼の発達課題をクリアしようとしているんだ』という視点を持って接することができたからこそ、今、高校生活とサッカーを謳歌している息子がいるのだと思います。
自分はこういう人間、というのは変わらないんですが、自分を知ることで自身を受け入れるというか。『こういうところに自分はコンプレックスがあるんだな』とか、『これがすごく未熟なんだな』とか。そういう自分の深いところを知ることができて、自分を客観視することができるようになった点は、良かったなと思います。
EAPの講座で、対人援助ってそんな甘いもんじゃないって学びました。お叱りを受けるかもしれないんですけど、でも、もうちょっとカジュアルに学んだことを活かせる何かはないだろうか、ってすごく考えている日々ですね。まずは、仕事のコミュニケーションのなかで学んだことを活かしながら、活用できるフィールドを模索しようとしているところです」。
勝野さんは、勝野さんらしいやり方で、これからも進み続けていきます。