遠藤 友実 
Tomomi ENDO

eMCを取得後、キャリアコンサルタントの資格も取得した遠藤さんは、辛い転職活動を乗り越え、新しい環境で楽しく仕事をしています。人との関わりのなかで自分の気持ちを客観的に見られる今、優しい世の中になることを願う、その思いとは。

〈Profile〉eMC2021年取得、宮城県仙台市在住。派遣会社の採用コーディネーター、夫と2人暮らし。趣味は夫と過ごす時間すべて。座右の銘は『自分に優しく、人にはもっと優しく』

あの時の答え合わせを

「現在は、派遣会社の採用コーディネーターの仕事をしています。勉強を続けるうちに人材業界で働いてみたいと思いました。転職活動をものすごく頑張りましたが、80社ぐらいは落ちました……。資格を持っていましたが、未経験分野なことと、年齢の面で引っかかることも多かったんですね。
 キャリアとメンタルの2つの資格とも楽しく学び、勉強してよかったです。今の仕事はキャリコンの資格をメインに活かせていますが、EAPで学んだことも役立っています。派遣さんたちの就業についての相談や情報提供の際に、これからも身につけたスキルを活かしていきたい」。
 元々、遠藤さんが心理に興味を持ったきっかけはなんだったのでしょうか?
「大きく分けて3つあります。一つは、原家族が精神疾患を抱えていたことです。子どものときに家族を亡くしたことがあり、また同じことが起きたらどうしようという恐怖がありました。これは勉強をしないといけない!と思いました。
 もう一つは、夫のお嬢さんとの関係です。夫は離婚歴があり、お嬢さんがいます。その子と最初に出会ったとき、なんというか、絶対にこの子を傷つけたくないと思いつつ、どう接したらいいかわからないという思いもありました。
 さらにもう一つは、前々職でアパレルの仕事をしていましたが、全然上手くいかなかったことです。逃げるように辞めた後悔がずっとあります。あのとき上手くいかなかったことの答え合わせをしたいなと思いました。
 1番大きなきっかけは、夫のお嬢さんのことですね。これは今すぐ何とかしないといけない問題だと思いました。自分の原家族や成育歴が複雑なので、お嬢さんに心の傷を与えずに接することができるか、自信がありませんでした」。

仲良し夫婦です

本当の居場所を探して

「私は兵庫県で生まれ、島根県で育ちました。島根の実家はしんどかったので、ここは自分の本当の居場所じゃないと思っていました。高校卒業後は大阪や兵庫に暮らしていました。28歳のときにアパレルの仕事で店長をしていました。もともと服が好きなのもありましたが、人と接することや、結構体育会系な感じで走り回る感じが楽しかったですね。
 ただ、従業員との関係が上手くいかなくて。もう、すべて辞めて誰も知らない全然違うところで全然違う仕事をしたいと思い、それで宮城に来ました。なんで宮城なのか?ってよく言われるんですよね。宮城か沖縄で悩みました。それで、母親か らせめて陸続きにしてくれと言われ、それで仙台に引っ越しました(笑)。
 仙台に来てからは建築関係の仕事に就きました。とりあえず派遣登録をして働けるところがそこでした。最初のほうは楽しかったですが、だんだんと古い会社という感じがして、すごく閉塞感がありました。この会社が未来に向かっていく感じがしなかったんですね。人の考えや会社がアップデートされず、時代に乗り遅れている感じの体制だと感じました。いろんな勉強をすればするほど、本当になんでここに自分はいるんだろう?と思いました。こんなに世の中が変わっているのに、これでいいのかなって。仕事を始めた頃は楽しかったですが、最終的にはそう思ってし まいました」。

今はめちゃめちゃ楽しい

 メンタルやキャリアの勉強をした遠藤さんにとって、現在の採用コーディネーターの仕事に学びはどのように活かされているのでしょうか?
「派遣の登録スタッフの方と電話で話をするなかで、その方の背景を想像できるようになりました。言葉通り受け取らず、なぜこの方は今そういう言い方をしたのか、この人をそうさせる何かがあるんだなと思いながら話を聴くようになりました。
 電話でも学んできたことを実感します。前までは、電話は苦手だと思っていましたが、やり取りを通じて苦手じゃなくなりました。でも、勉強してなかったら違ったかもしれないな、とも思います。
 今の仕事はめちゃめちゃ楽しいです! 大変なことや嫌な思いをすることもあるけれども、本当に楽しいです。自分が書いた求人を見て実際に応募があることも嬉しいです。あとは、求人に応募した方から、『本当に話しやすかったです』、『話してて楽しかったです』、と言われると、本当に嬉しくて。応募した方と電話で話をする際に、なんとなく心が通じたと思うときがあって、転職してよかったなと思います」。

イベント会場で

人との関わり方の気づき

 生き生きと話をする姿が印象的な遠藤さん。仕事の他には学んだことでどのような変化があったのでしょうか?
「夫のお嬢さんとの関係ですね。お嬢さんと仲良くなるだけではなく、上手くいかないときやモヤっとするときに、自分が感じた思いや落としどころがわかるようになりました。良い距離感や関係性を持てていると感じるので、そこは良かったかなと思います。
 学ぶ前までの自分は本当にひどいんですけど(笑)、今ならもっと上手くできることもあり、もっと早く学べばよかったなと思います。
 過去のことを振り返ると、アパレルの仕事で店長だった頃に、一緒に働いていたスタッフからすごい不満を言われたことがありました。そのスタッフから、『店長は色がない、真っ黒です』、と言われたんです。そのときは意味がわからず、その子のことを悪く思いました。私はこんなに一生懸命にやっているのに、私がかわいそうと思っていました。そのスタッフの伝え方が正しかったかどうかは別として、でも自分は確かにスタッフ全員を同じように見て、機械的に対応していたなと思いました。今、もし戻れるのならば、ちゃんとひとり一人の話を聴いて、個人の能力 を活かせるようにしたいなと思います」。

ストレスのない優しい社会に

「本当に世の中ストレスだらけだなって思います。以前派遣登録された方へ電話をかけたときに、無言でガシャンと切られたり、冷たくあしらわれたりすることもありました。自分が人に優しくすることで、ちょっとずつでも思いやりの輪が広がっていって、ストレスなく存分に力を発揮して仕事ができる、そんな優しい世界になればいいなって願っています。
私自身、オンラインカウンセリングで気持ちを話すことで、ストレスがスーッと軽くなったり、学びがあります。カウンセリングを受けると、自分の思いへの気づきもありますし、カウンセラーの先生の見立てが勉強になるという利点もあります。本当にプロってこういうことだな、自分もいつかこうなりたいなと思います。これからもいろんな学びを続けて、頑張っていきます」。
これまでの経験や学びから客観的に自分を見つめられるようになった遠藤さん。なりたい自分、こうあってほしい世界に向かって学び続けていきます。