藤 道春
Michiharu TOH
省エネ・環境機器メーカーの工場で運営管理の仕事をされている藤さん。うつ病からの復帰を経て、カウンセラーを目指しています。決めたのは生涯現役!!学んだことを周囲にお裾分けとお試ししつつ、次のステップに向けて準備中です。
〈Profile〉eMC2017年取得、福岡出身。神奈川在住、57歳。省エネ・環境機器メーカの工場で運営管理、アシスタントマネージャ。EAPメンタルヘルスカウンセラー活動コンテスト2019年功労賞・2021年特別賞受賞
自分のためから誰かのために
福岡出身の藤さん。省エネ・環境機器メーカーでの営業職が長く、東京には転勤で来ていました。けれども上司との人間関係や人事異動でうつ病を患い、2ヵ月休職した後、自ら願い出て東京の営業に復職しました。EAPの学び始めは復職後、最初は自分のためでした。
「現在は、湘南エリアの工場で運営管理の仕事をしています。自分が関わっていた営業の製品を関東で作ることになり、福岡本社から手伝ってくれない? と頼まれたのです。製造に移動して4年経ちます。部署が14名とちょうどいい人数です。
勉強のきっかけは、東京に戻ったとき、メンタルヘルスマネジメントという資格があると知ったことでした。自分のためにもなるので、3級・2級を取得しました。これはいいな、と思って、学校に通うという選択はないかと探して、リカレントに辿り着いたんです。ちょうど復職している途中だったので、元々は自分のために知識を得るといいのかな、と入学を決めました。
けれど、やっていくと、あれ? これ人のためにも役に立つんじゃないかな?と気づきました。自分のためから誰かのために活かせないかなというふうに変わっていったんです。
試験には受かりましたが、じゃあそれからっていうと、どうしていいかわかりません。でもせっかく学んだので、何か使いたい、カウンセリングしたい、という気持ちがありました。
ネットワークを広げるために、いろいろな交流する場所や勉強会に参加して、昔の仲間と情報交換しながら、どうにかカウンセリングに結びつけられないかなぁ、という動きをしていましたね。焦りながらも、人に会えば何かが生まれるんだろうと、当時はとにかく動き回っていました。
そういったなかで、EMCA本部から手伝いを頼まれたんです。新宿区のNPOにEMCAが登録することがきっかけで、そこの関係者の方々に、EMCAってこういう活動をしているという話をする手伝いです。
そのとき、自分の作った資料でプレゼンする、というチャンスをいただいたんです。EMCAの「オフィシャル研修コンテスト」に応募した資料です。資料作りには結構時間がかかったけれど、そういうことをずっとやっていることが、結局自分にとって良かったのかもしれません。自分の病気を良くしていくためには、良いタイミングでした。もし何もやってなかったら、余計なことを考えてしまったでしょう。リカレントでの勉強、先生の手伝い、仲間との交流で、今に集中できた。タイミングが良かったのかもしれません。リカレントに行ってなかったらどうなっていたんだろうとも思いますね」。
社内しかない
「その後、外に行くことが減って、他と交流がないなか、どうしようかな?と考えたところ、社内しかないと思ったんですね。そこで、少人数でメンタルヘルスの勉強会をしました。1on1ミーティングも定期的に行うようになりました。
自分が相手に伝えた言葉はあれで良かったのかと考えることが多くなりました。気分を害する言葉を投げられたとき<、自分だったらなんて言うだろう? って。結果、人を褒めることが多くなりました。学んだカウンセリングのスキルをどう活かせるか、いろいろと試しています。
今、メインとなる社員が4人いるんですけど、現在、そこが中心となってレベルが上がっています。実際に試しつつ、振り返りをして、自分のなかで何か形づくることができたら、フィードバック的に戻ってくるのではないかと思います。
インプットとアウトプットはセット。学んだことのお裾分けとお試しです。EMCAの活動レポート募集も意識しています。募集を宿題と課し、モチベーションを維持しているんです。こういうことを通して、将来を模索中です。僕は年齢が高いので、何か次の世代に返せないかなと、恩返しのつもりでも取り組んでいます」。
まだまだ若造です
「自分で分析すると、僕は真面目すぎるんです。頑張ろうとしたら無理しちゃうし、しっかりやろうとすると、やりすぎてしまうこともあります。逆に迷惑をかけているかもしれないと感じることもあるので、自己満足にならないようにしなきゃと気をつけています。教えてあげたら喜ぶだろうと思っちゃうときがあるんですよね・・・・・・。でも、相手は実はそんなこと望んでないかもしれない。
今まではガツガツでしたけれど、ちょっと見守るように、最近は抑えるようにしています。もちろん向こうから来れば、ちゃんと教えます。けれど傾聴が下手で、喋りすぎちゃうんですよね、それが課題です。
頑張ろうと無理して、きちんとやろうと力んで、まだ失敗しています。57歳ですが、まだまだ若造です。ですが、失敗を含めて、すべての経験には価値があると思っています。自分の経験が誰かの役に立つなら最高ですね!同世代にも、『藤さんができるなら私もできるかも』と、背中を押せたらいい。
大切にしたいのは、やっぱり自分。自分に余裕がないと、誰かを応援するのは無理ですから、まず自分を応援したいし、喜ばせたい。自分に向かい合って、応援したい人にも向かい合う。
リカレントやEMCAのおかげで、ちゃんと振り返りができるように、自分と向き合えるようになりました。おかげさまでありがとうございます、ですね」。
生涯現役!
藤さんはカウンセラーを目指すことを考えて、勉強以外にも力を注いでいます。カウンセラーであるなら大事なこと、特に見た目の部分の改善には家族が大きな力となっています。
「勉強会では、スマイルが大事ですよというのに気づきました。あと、右の目が斜視だったのも、手術しました。コンプレックスだったのを知っていて、奥さんも勧めてくれました。髪の毛をケアをしたり、ファッションは娘に見立ててもらったり。そういう小さなことを重ねています。健康でないとダメだよねってことで、糖尿病で病院にも、歯のケアや腰痛予防のため整骨院にも定期的に行くようにもなりました。歯のケアにも行っています。
前は、定年のこと考えていたんです。あと10年で定年。じゃ、75まで生きればいいかな。そういう終わる想像していたんです。
カウンセラーを目指すことで背中を押してもらった感じです。未来を見られるようになりました。人生100年時代っていうのも良いタイミング。『まだやっていいんだ!』みたいな感じです。そこで僕が決めたのが生涯現役!!もう定年とか、休んでなんかやろうというのじゃなく、ずっと働き続けようと思っています!」
藤さんが書き溜めた言葉を集めたノートの束の数は驚くばかり。学んだ知識のお裾分けは、次はどこでされるのでしょう? 講演依頼や本の執筆に向けて、藤さんは動き続けています。