日比 和美
Kazumi HIBI

資生堂でのマーケティング、管理職など、長年の経験と、eMCとキャリアコンサルタントの2つの資格を活かし、現在、東京都の電話相談員と大学生就活支援の仕事に就いている日比さん。キャリコン授業で描いた未来のプランは、今、順調に進んでいます!

〈Profile〉eMC2017年取得、東京都在住。東京都の電話相談員・大学生就活支援講師。夫と息子二人。趣味は美術鑑賞・読書(原田マハさん大好き!)

環境変化とメンタル不調

 資生堂でマーケティングの仕事を30年ほどしていた日比さん。管理職に就きながらEAPを学び始めました。続いてキャリアコンサルタントの資格を取得。きっかけは、環境の変化からメンタル不調の社員が増えたり、若手のサポートを考えたり、自分のこれからを見据えてのことでした。
「辞める5年、10年ぐらい前から、会社自体の環境がすごく大きく変わってきました。私は割と変化に強いんですけど、大きな改革と共に、与えられるミッションが変わっていき、メンタル不調になってしまう人を見かけるようになりました。
 身近な人のメンタル不調、主人が管理職になったときにうつ病になった時期もありました。また、PTAをしていたときに、社長のカウンセラーをしている方のお話も伺いました。私がいたマーケティング部門の人たちは、追々、社長とかになる人たちとも関わっている部署でしたので、こういう人たちが責任の重い仕事に就いたときに、心のケアができる役割を担えたら良いなっていうことを、そのときは漠然と思っていました。
 40代後半の管理職になった頃、自分が楽しく仕事をしたからこそ、これからの若い人たちが、いろんな環境に陥ったときにサポートできる、そういった役割をしていきたいかなぁと、ちょっと考え始めました。
 心理の仕事は産業カウンセラーぐらいしか知らなかったので、早期退職して大学に行こうなんていうのも考えていたときに、GW休暇でネットを見ていたら、リカレントの案内を見つけたんです。たまたまその日が空いてたので、説明会に行きまして。ま、勢いですかね。すごく仕事も忙しかったけれども、そこが始まりです」。

3・5・10年後のプラン

「学んだことはメンバー育成に大変役立ちました。きちんと傾聴しながら、本人がやりたいことに気づく、そういった指導、育成の方法ができたっていうのが、EAPとキャリコンの両方の学びの成果かなって、すごく思っています。ですが、キャリコンの勉強の後半のときに、3年後、5年後、10年後っていうのを自分でイメージして描いてみましょうっていう授業があって、そのとき、資生堂に残った場合と辞めた場合を考えてみたんです。
 ちょうど役職交代をしたタイミングでした。そこで私は、上長にもメンタルヘルスを促進する部門に行かせてほしいと訴えたんです。ところが、マーケティング経験者っていうのが貴重だからと、そこを外してもらえませんでした。そして新人管理職のサポートをしてほしいというので、我慢というのではないけど、1年は残ります、ということになりました。
 30年近く本当にがむしゃらな働きでしたね。ワークライフバランスなんて考え方がまだ全然ない時代が20年、その後管理職になって10年ぐらいはワークライフバランスもそこそこ整っていたと思うけれど、まぁもうもうね、お腹いっぱいでした(笑)。ずっとファイティングポーズで仕事をやってきたので、もういいかなって。違う世界を見てみたいかなって思ったんです。
 もしも資生堂に残った場合は60歳で定年でしたので、実際に次のキャリアを始めるのが、60を過ぎてからになります。
 60のタイミングで、ある程度基盤を創って、70歳まで頑張りたいなっていうのがありました。ですので、一足先に58歳のタイミングで退職しまして、翌年にキャリコンの資格を取得しました。その年から契約社員でキャリコンとしてお仕事をいただきました。
 授業で3年後、5年後、10年後っていうプランを描いたときに、あ、もうこのタイミングで会社を辞めよう、そして60歳までに基盤を築いて70歳までそれを深めていこうっていう計画を立てたんです。今、順調にそのように進んでいます」。

自分がやりたい仕事

 キャリコンの資格を取って、すぐに派遣で働きはじめた日比さん。けれど、その会社では、キャリコンの資格は持っていても、10仕事があるとすると、3ぐらいがキャリコンに関することで、あとの7は事務仕事でした。日比さんは、セルフ・キャリアドッグ導入や営業の仕事はしていたけれど、自分がやりたい仕事とはちょっと違うなと思い始めます。
「いろんなところを受けてみました。短期間ですけれども、人材紹介会社も少しだけ働いたこともあります。マーケティングの仕事を30年ぐらいやっていて培ったノウハウ、管理職としてのメンバー育成、企画部門も長かったので、そういうのも合わせたキャリコンの仕事を、自分らしくしたいなぁと思っていたんです。
 ちょうどその頃、大学生の就活支援というお話がありました。かなり幅広いアドバイスができるなっていうのもあり、2021年の年末からお手伝いさせていただくようになりました。大学生の支援は本当に楽しくてしょうがないです。学生たちは本当に必死でこれからの将来を考えています。彼らの夢に向かってのお手伝いができていることが何より嬉しいんです」。

目標だった社会貢献

「メンタルのカウンセリングをやるっていうのは非常に大変なことだなぁと、勉強して思いましたね。やっぱり大切なのは傾聴ですね。
 こちらを活かした仕事も、この2022年の夏からやっとスタートしました。東京都の電話相談員です。ほとんど傾聴が主ですね。EAPの勉強をして、初めて目標であった社会貢献に役立っているかなって思いで最近はおります。
 何らかのメンタルをお持ちの方からのご相談が多いです。不安な気持ちになった、ちょっと寂しくなったから聴いてほしいっていうような内容です。ご相談者様のお気持ちに寄り添うことを一番大切にし、とにかく大丈夫だよって伝えていきます。1回の相談なので『少し安心した』『少し楽になりました』っていう声をいただくと私も安心します。
 とにかく、今まで経験したこともないような人生に触れますので、心から寄り添って、少しは気持ちが楽になっていただけたら……という、ささやかな社会貢献の思いもあります。毎回お悩み相談を受ける度に勉強になりますね。最近、福祉の勉強をしなきゃいけないって思い始めています。
 学生支援は基本が土曜・日曜で、電話相談は週3回の勤務です。良いバランスだなと思っています。自分が歩んできたものと、新しくやろうとするもの、両方活かしていけるっていうのが、一番私の強みだと思います。
たぶんこれを地道に続けて、自分のキャリアを深めていくのが65歳まで。65-70歳ぐらいで、自分の体調や環境などが変わってくるかもしれないから、もう一度見直すかもしれません。今、とにかく60歳でEAPとキャリコンの資格を活かした仕事で、やっと両方スタートしたばかり。日々勉強していきます」。