小野 勝弘
Katsuhiro ONO

自分の作った法人で、やりたい人に活躍の場を作っていきたいという小野さん。主催と司会を務めるユーチューブの「キャリコンリレートーク」は、キャリコン学習者のスキルアップや自己研鑽に最適です。そこに至るまでの道のりは・・・・・・。

〈Profile〉eMC2016年取得、横浜市在住。一般社団法人セルフキャリアデザイン協会の代表理事。妻、子供二人+マルポメ(犬)の家族。趣味は合氣道。

学び始めてからの変化

 組織の中で働くのが大好きだったという小野さん。6社、7社とステップアップを重ねて行き着いたIT企業でのマネージメント職。気づいたら社歴も長くなっていました。人との関わりも満足していた一方で、これ以上ここで得るものはなくなってきたかな……と感じたそうです。決意した次の行動は⁈
「次の転職って思ったときに、組織じゃなくて個人で何かできないかな?というところから調べているうちに、心理やメンタルヘルスが出てきて、なんかこっちの分野、面白そうだなと思い、それで勉強し始めたんです。勉強途中のいいタイミングで会社を辞めました。
 初めはEAPを学んでいました。キャリア系の資格も持っていたほうがいいのかなと思って、キャリアコンサルタントも取りました。被る部分があったので、どうせ取るなら忘れないうちがいいかなって。特には意識していませんでしたが、当時はまだ周りにはダブルライセンスを持つ人は、あまりいなかったですね。
 心理学に興味を持って当初はカウンセリングでやっていこうかと思ったんです。けれど、中小企業に対して、何か働く人の環境も含めた職場支援ができないかと、そちらに興味が湧いてきました。産業保健の観点で企業向けの提案とかしたいな、対個人より対組織への取り組みが好きだなって思うようになってきた。その点は学び始めてから自分の心の向きが変わったところです」。

ゼロスタートからの歩み

 その後、小野さんは5年前に一般社団法人セルフキャリアデザイン協会を設立。法人化した大きな理由は、フリーランス、個人事業で活動するよりもやりやすかったから。メンタルや産業保健に絡むようなEAPという分野と、EAPにも多少含まれるキャリアの領域、それを上手くミックスしてやっていきたいとスタートした、その後は・・・・・・。
「最初の1、2年はあまり願ったような活動ができなくて。今までやってきた仕事があって、それを起業して繋げていこうという方法ではなかったので、最初の実績は0(ゼロ)に等しかったです。むしろマイナススタートでした。今も本当に一歩ずつ前進している最中で、これからが楽しみです。3年目ぐらいから、キャリアコンサルタント向けの更新講習を厚生労働省に申請して、今、その更新講習の指定機関になっています。なので、キャリア絡みの仕事がボリューム的には多いかなという感じですかね。
 こんな感じで、自分自身がキャリアコンサルティングをするというより、そういう方々を後方支援する活動をしています。例えば、国家検定キャリアコンサルティング技能士の1級2級の方を講師として、試験対策講座を開催しているんです。
 また、「キャリコンリレートーク」と称して、これからキャリアコンサルタント資格を取る方が参考になるように、私が出演者のキャリアコンサルタントにインタビューして映像を編集、動画をYou tubeで公開しています。内容は、試験に合格した方の体験談や、キャリアコンサルタントとして、こういうふうに最初仕事を作っていったんだよ、といった紹介など。ときにはEAPも絡みます。
 毎回、リレー形式でキャリコンの方が次の方を紹介してくれるので、知らない方とどんどん話していきます。そうすると、『ああこんな資格持ってるんだ。この勉強どうしてしたんだろ?どうやって会社つくったの?』など、興味が出てくるので、自分の世界が広がったりもしますね。この、You tubeでのキャリコンリレートークは100人 ぐらいまで続けたいです。自分で編集してるので、時間がかかります。でも嫌いじゃないんです」

小野さんが手掛ける『学び』SCDA-Learning「キャリコンリレートーク」

コミュニティで繋ぐ

 小野さんは
「勉強会っていうのも毎月数回やっているので、そこもキャリコンへの支援です。法人ですので、お金払ってでも聞きたい講座というのを今は無料の勉強会としてやっていって、来年あたりから結果を出していきたいと考えています。また、昨年からやっている活動としては、EAPのエキスパートいうのを育てていこうと養成講座という形で有料でやっています。こちらはカウンセリングや心理という部分ではありません。企業に対してどういうふうに支援していくか、産業保健、ハラスメント、ストレスチェックの考え方を、どう組織改革に入れていくかなど、コンサルティング的な内容です。
 キャリア系の仕事ですけど、EAP絡みをやっていて良かったなと実感します。実際にEAPの学んだことを、実践に近いような講座をやっているので、そこはダイレクトに役立っていますね。あとは、月に1回オンラインミーティングとか、チャットワークを使って常に情報交換したり交流ができるようにしています。
 例えば、オンラインサロンでは、ある方から、『これこれこうなんですけど……』と相談される。メンタルでもなくキャリアでもなく、給与に関わることもあります。それに対し、『(社労士の方からは)こういうふうにやった方が良いよ……』、『EAP側からいうとこうだよね……』『キャリアの側からいうとこうだよね……』と、みんなで相談ができるので、とてもいいんです。サロンを通して、共有していい部分は共有して、問題解決していきます。オンラインなので全国各地の方が参加できる点もいいですよね。
 学ばれた後、その先を迷われている方だったり、キャリアが落ち着いて後進育成したい方だったり、今バラバラでいる方々を、コミュニティを通じて繋がっていく感じにしたいんです。それをもっと大きな目標にしたいですね」

長年親しんできた合気道

この先も気持ちいいところで

 さまざまな取り組みをしている小野さん。けれど、ここまで思い切ってバンバン進んでいくというつもりではなかったのだといいます。
「法人っていっても、実際に動いているのは私一人なので、あとは、理事、講師やコンサルタントの方々7、8人にサポートいただいています。今はお願いする立場です。自分や法人のやっていることを1、2年見ていただいて、信用してもらい関係を継続していくために、いま一生懸命に信頼を作っているっていうのが現状です。失敗できないのでリスクヘッジをしなきゃならない。案件が多くなり過ぎるとマネジメントしきれないので、本当に1歩ずつ前進しています。こんな遅いペースでいいのかな……なんて思いがありながら、今日までやってきたっていう感じですね。
 けれど、この先も今の延長上で進んでいきます。無理のないマイペースで自由に気ままにやっていきたいなって。会社を大きくすると必要な仕事がどんどん増えていくので、自分のライフスタイルとしては、それって今やんなきゃいけないことかな? と自分に問いかけながら。目標を、大きくお金を稼ごう、にすると変なストレスが溜まっていきます。今の一緒にやっていこうと協力してくれる講師の方々と、気持ちいいところでやっていくのだと思います」。
 自身のライフスタイルと仲間との信頼関係を大事にしながら、一歩ずつ着実に地固めをしていく。小野さんの取り組み共感したり、頼ったり、集まってくる人は、この先どんどん増えていきそうです。