生駒 伸江
Nobue IKOMA

専業主婦、そしてEMCA全国支部会の役員活動。この2本柱で日々動いている生駒さん。幼少期の[我慢の連続だった]苦い経験から、家庭に入ること、母になることの恐怖を感じていました。時の流れと学びを通して、どのように変わっていったのでしょうか。

〈Profile〉eMC2014年取得、埼玉県さいたま市在住。EMCA関東ブロック支部役員、PTA副会長、夫、息子、娘の4人家族、日々"Trial and error"自分への労いは晩酌☆

2つの役員活動

「今は専業主婦ですが、EMCA支部会・関東ブロックの役員と自治会の子ども会の部長をやっています。今、長男が小学1年生で、長女が幼稚園の年中なので、長女が幼稚園に行き始めてからいろいろと活動を始めました。それまでは24時間体制の育児で精一杯という感じでした。
 専業主婦になるまでは仕事が好きでやっていたんですけど、母親になってからはなんだかフラストレーションが溜まって。『私、なんかやりたいんだな』って感じたので、それで役員に立候補しました。
 関東ブロックの役員も子ども会の役員も2年目ですね。今度は小学校のPTAの役員にもチャレンジしたいと思っているところです!
役員の仕事はどちらも大変ですが、楽しいですね。ブロックの会員向けの企画や運営に携わって、それが会員さんに届いて『参加してよかった』という言葉が聞けると、やってよかったなって。子ども会も楽しそうにしている子どもたちの姿を見て、同じくやってよかったなって思います。
 達成感ややりがいを得られることが楽しいですね。育児をしているだけのときは、社会から離れているような感覚がありましたが、今は人との関わりが得られるので、やりがいに繋がりますね」。

休職を経験して心の健康を実感

「仕事をしていた頃に、体調不良で1ヵ月間休職したことがありました。ビジネスの場では心の健康というのがすごく大事だなってわかって、メンタルヘルスの必要性を感じて学ぼうと思いました。休職中は自分を振り返る期間になって、体もそうですが、気持ちも休めたという感じです。
 働いていた当時は、エンターティメント会社の空間開発オペレーション事業部に所属していて、飲食店の企画・運営をしていました。社員数が少なくて、自分たちで企画、運営、店舗責任者も務めながらだったので、楽しかった反面、全部自分たちでしなきゃいけないから無理していたところはありましたね。評価されたい、とか、自分がやりたい、って気持ちが先走りすぎて上手くいかない時期もありました。  当時は働きづめだったなって思いますけど、今みたいにライフワークバランスとかもなかったので。今思うと、自分でもよくやってたなって思いますね(苦笑)」。

自分への労いは晩酌☆「丸くなるな、星になれ」の言葉と黒ラベルが大好き

幼少期は我慢の連続

「生まれは山形県酒田市で、長女で生まれたこともあって、幼少期はずっと我慢、我慢の連続でした。両親が共働きで弟が二人と病気がちな祖母がいたので、お母さんの代わりをしていたというか。日々誰かのために頑張らなきゃいけないって感じでした。
 デザイナーになる夢を叶えるために、高校卒業後は東京の専門学校に通いました。専門学校に行きながら働ける制度があって、4年制の学校だったんですけど、20歳ぐらいのときに大きな挫折を経験して。実家は辛かった思い出が強く帰る気にはならず、私にとっては辛い場所でしかなかったんですね。もう東京で生きていくと決め、がむしゃらにアルバイトで働いていたときに、専門学校時代の知り合いから先ほど話した会社に引き抜いてもらえたんですよ。
 その会社で働いて、体調を崩したことをきっかけに、メンタルヘルスとか心の健康に興味を持ったこともそうですが、自分が小さい頃にいろいろと我慢をしていたことも思い出して。学び始めてからは自分が素になれたというか、肩肘張らずに生きていけるようになったんですね。それまでメンタルヘルスって言葉自体も聞いたことがなかったし、幼少期のモヤモヤだったり、イライラだったりっていうのはずっと抱えていたんだなって。満たされない何かを抱えてたんですけど、自己一致という言葉に出会い、ああ、これってこういうことだったのかとか、いろいろと気づきをもらうきっかけになって。
 学び始めてからのタイミングで、ちょうど結婚をするチャンスに恵まれ、出産を機に家庭に入りました。育児は育児でやっぱり、もう~大変ですけれど(笑)」。

 愛おしい子どもたち

学んだからこそ母になれた

「支部会員としての活動もそうですが、子ども会の活動にもリカレントの学びは活きています。子ども会を通して自治会と関わるなか、ご年配の方と接するときもありますが、全然価値観が違うこともあるんですよ。『なんなのよ!』って、なっちゃいがちなときも、『きっとこういう気持ちから、こういう言い方になるんだな』とか、自分たちがなんで?って思うことも、『こういう言い方をすれば伝わるかな』と、お互いの意見交換に役立ちますね。
 子どもと接するときも、子どもは自分の感情を上手く言えないじゃないですか。泣いたり嫌だったりする気持ちも、こうだったから嫌だったんだねとか、こういうことだから悲しかったのね、とか、できるだけ感情を言葉にするように接してあげるようになりましたね。
 幼稚園や小学校に行くようになってから、他の子どもたちとの関わり方で、喧嘩しちゃったとか、意地悪されちゃったとか、そういうことに対しても、子どもの気持ちを丁寧に聴いてあげて、気持ちを代弁しながら消化していくことが、学びがあったからできるようになったと感じます。普段の生活のなかで子どもと一番関わるし、親となるとつい感情的になりがちなので、ここは一歩引いて感情的にならずに、子どもたちへ伝えるように心がけています。
 自分が家庭に入った、母になれたっていうのは、心理学を学べたから。もし、学んでいなかったら、多分、避けていました。怖かったと思うんですよ。自分の子ども時代が満たされたものではなかったので、家庭に対するいいビジョンが持てなかったんです。心理学やメンタルヘルスを学んでいなかったら、母になることも子どもを育てることも怖かったままだと思います。
 子育てって修行だなって(笑)。世の中から隔離される、じゃないですけど、子どもが新生児時代って、あんまり外にも出れないし、子どもと向き合って過ごす時間が多くって。自己鍛錬としても、自分自身が自己一致しているのかなっ、ていうのは常々感じたり、振り返ったりするって感じですね。
 子育てって理屈じゃないし、思った通りにはまったくいかない。でも、たまに[今の私が自分のお母さんだったらよかったのに]って思うことがあるんです。私もお母さんからこんなことを言われたかった、もっと甘えたかった、もっと抱きしめてほしかった……。そんな想いを自分の子どもたちにすることで、まるで自分の幼少期に得たかったものを取り戻している感じになる。それがかけがえないというか、癒されているというか。子ども達がいるからこそだなって。  子どもを育てているけど、同時に幼少期の自分も私に育て直されている感じがします。母になってなかったら気づけなかったことも多いです。おかげさまで、今は自分の母に心から感謝していますし、愛情も感じられます」。

子ども達と楽しい時間  

応援団と渦巻く野望

「関東ブロックの役員として、会員の皆さんの応援団という感じでやらせてもらっています。カウンセリングセッションや会員の方を講師として招いた講座など、普段は接しないカウンセラーである会員様同士との交流を通して、気づきを得る場にもなればなって思っています。
 役員以外では、具体的には決めていないですが、いつかメンタルヘルスと何かを掛け合わせた楽しいことをやってみたいです! 子ども達が大きくなって巣立ったときに何かできたらなっていう大きな野望が渦巻いています(笑)」。