小堀 美智子
Michiko KOBORI

看護師として人を支え続ける小堀さん。EMCA機関紙「こるCor No.12(2021)」でも大きく紹介されました。それからの2年間で驚くほど活動のフィールドが広がっています。自身の忙しさや医療現場の大変さを感じさせず、周りを明るくするそのオーラは、自分の仕事に誇りと自信を持っているからこそ出るものだと感じます。

〈Profile〉eMC2021年取得、東京都在住。クリニック看護師長兼保健師・カウンセラー(公認心理師取得)。バンド・ロック好き、「自分の人生自分で決める」マザーテレサ「思考に気をつけなさい…」の言葉が好き。

これまでの歩み

 都内のクリニックで看護師として多忙な日々を送る小堀さん。2年前の「Cor 2021年4月号」でコロナ禍で医療に携わるeMC保有者として、その働きぶりが紹介されました。
「2年前にCorで紹介していただいた時は、看護師として10年ほど働いた頃でeMC資格を取得したすぐ後でした。まだまだメンタルヘルスカウンセラーとしての経験がほとんどない状態でしたので、こんな私が記事で紹介されていいのかな?って思いながらインタビューを受けたことをよく覚えています」。
 小堀さんが勤務するクリニックは、内科・小児科・皮膚科・心療内科・オンライン診療・在宅医療などを備えた身近な「まちのお医者さん」として優しい医療を提供しています。毎週木曜日は在宅診療の日で、渋谷や新宿にある患者さんのお宅を医師とともに訪問しています。
 今、小堀さんは医療の世界に入って12年。入職時から5年間は大学病院の手術室で、多くの難しい症例を経験したそうです。その後、幅広い経験を求めて総合病院へ移り、そして、現在は『みいクリニック代々木』で看護師、心理カウンセラーとして忙しい日々を送っています。
「私、看護師長になったんです。理事長から『看護師も増えたし、クリニックを切り盛りしていってください』と言われて。これまでの看護やカウンセラーの仕事に加え、非常勤の医師のシフト調整、看護師の統括や育成、シフト調整、そして外来の予約調整などの仕事も増えました。
 とにかく、この業務は人との調整ごとが中心で、思い通りにならないことが多く、その点では多少ストレスを感じることもあります。ただ、このストレスに関しては、リカレントの学びによって上手く軽減できています。でも、頼りにされるって嬉しいことですね」。


勤務先の『みいクリニック代々木』は落ち着いた空間

心理カウンセラーとして

「前回のインタビューでもお話したことですが、eMC資格を取ろうと思ったきっかけは、社会人になって4年目くらいまで、対人関係で悩むことが多かったからです。そのときに先輩に連れて行ってもらった社会人サークルにすごく助けられました。今、思うとそこでは認知行動療法のようなことをやっていました。
 その経験から、働いている方へのカウンセリングにすごく興味があったのです。今のクリニックに移ってしばらくしてからリカレントの養成講座に通い始めました。この講座では多くのことを学びましたが、自分を客観視できるようになったり、相手の立場になって考えたりできるようになったことは、カウンセリングだけでなく普段の生活の中でも多くの場面で役立っています。
 養成講座を修了した頃からクリニックで少しずつカウンセリングを担当するようになり、合格してからは本格的にカウンセリング業務を始めました。ネームプレートに資格を載せると、クライエントさんから『カウンセラーの資格を持ってるんだね』と声をかけていただくことも増えました。
 前回インタビューを受けたころは本当に駆け出しで、まだ数名しかケース担当をしていなくて、不安な気持ちを持ちながらカウンセリングしていました。2年が経ち、経験が増えて不安感は少なくなりましたが、まだまだです。看護師は3年目になってようやく一人で立って歩き始めたくらいの感覚でしたので、今はそういうレベルです。
 始めた頃はカウンセリングの質を向上させるために、リカレントの『とことんロールプレイング実践』に通いながら継続的にトレーニングをやったりしました。また、カウンセリングを実施した日は自宅に帰ってから細かく振り返ることを習慣にしていて、これは今も続けています。
 リカレントの先生から言われた『カウンセリングの良し悪しはカウンセラーではなくクライアントが決めるもの。決して自己満足はしないように』という言葉を忘れず、少しでもクライエントさんの満足が増やせるように、自分に疑問を持ち続けています」。

さらなる資格取得で
視野と学びが広がった

 この2年間でCEAP(国際EAPコンサルタント)と、公認心理師という難しい資格を立て続けに取得した小堀さん。学びへの意欲とさらなる進化への情熱は人並外れたものがあります。
「CEAPは信頼しているリカレントの先生から強く勧めていただいて勢いで取った感じですが、勉強して視野が広がりました。eMCの学びとは視点が違いますし、国による違いも感じることができ、新鮮な学びが多かったです。
公認心理師へのチャレンジは、より深く心理カウンセリングを知りたいという気持ちからなのですが、多くのリカレントの先生がお持ちだったことも大きいです。
 働きながらの勉強はさすがに大変でした。電車通勤で片道1時間、満員電車に揺られながら1年ほど必死にオンライン講座を視聴していました。なんとか合格することができ、ネームプレートに資格を載せられたときは嬉しかったです。公認心理師の勉強を通じて学びの範囲が広がりました。補足ですが、企業で働く方へのカウンセリングを行う点においては、リカレントの学びで十分な知識とスキルはカバーできているように感じます」。


EAPコンサルティングコースのクラスメイトの高橋弘明さんのバー「neon fish」で受講生仲間と

新しい一歩・個人事業主へ

 ここ2年で元々担当していた看護に加え、カウンセリングや看護師長の業務など、活躍のフィールドが広がって、ますます多忙な小堀さんですが、この先は何を見ているのでしょう。
「実はこの4月から副業としてオンラインカウンセリングを始めたんです。先日、個人事業主として登録してきました!もともとフリーランスとして自分で仕事をしたいと思っていたんですよ。社会人になって間もない頃は『ただ自由に働きたい』っていう感じでしたが、今は『自分の人生は自分でコーディネートしたい』という想いが強いです。
 オンラインカウンセリングでは、働きながらメンタルで苦しんでいる方を対象にしたいと思っています。保健師として企業にお勤めの方のカウンセリング経験も積むことができて、少し自信がついてきたというのも、思い切って一歩を踏み出せた要因です。もちろん現業にやりがいを持っていますので、今のところ辞めるつもりはありません。クリニックの皆さんも応援してくれています」。
 何事にも手を抜かず、常に自らを高めながら全力で取り組む情熱的なマインドは、仲間からの信頼も得て、自由な活動へと広がっていきます。
 「うまくいけば」と控えめですが、小堀さんなら自身が描いているビジョンを実現させる日は決して遠くなさそうです。また、環境はどのように変わろうと、周りの人を元気づけてくれる、お日さまのような小堀さんは、いつまでも変わらないのでしょう。


この笑顔に癒され勇気づけられる患者さんがたくさん