福嶋 勝
Masaru FUKUSHIMA
個人事業主のシステムエンジニアとして活躍中。困っている人を見ると、とっさに声をかけるという福嶋さんは、正直で誠実で、とても優しい雰囲気に身を包んでいます。
〈Profile〉eMC2018年取得、埼玉県在住、個人事業主としてIT企業と業務委託契約を結びグループ会社にて勤務中。趣味はテニスで地元の居酒屋でお店の人と常連さんと歌って話して楽しんでます!
自分は無茶をしてしまうタイプ
現在はシステムエンジニアとして、某化学品工場会社のヘルプデスクの仕事をしている福嶋さん。ヘルプデスクとして、パソコントラブルや工場のデータ抽出、時には打ち合わせのセッティングなど、その仕事内容は多岐に渡ります。
「本当になんでも屋みたいな感じですね。一応、今は自分が個人事業主みたいな感じで。もともとは今の業務委託契約している会社の社員だったんですけど、自分無茶しちゃうタイプなので、社長と話して、『じゃあ個人でやったら? 一回組織から外れてみ?』って言われて、個人でやっています。部下がいるとすぐに面倒を見ようとしちゃうので……。多分性格なんでしょうね」。
誰も「壊したくない」
福嶋さんがEAPを学ぶきっかけとなったのは、「10年以上勤続した会社で病んじゃう子が多かったから」といいます。
「当時、勤めていた会社は稼働がむちゃくちゃ高くて。会社に泊まったりするのも普通みたいな感じで。当時、現場でリーダー職みたいなのやってたんですね。何十人って子が下にいたんですけど、やっぱり病んじゃう子が多くて。急に仕事中泣き出したりとか、来られなくなっちゃうとか。それを止めたいなって思ったのと、あとは僕自身も3ヵ月間、帰らずに仕事やってたら、最後職場で倒れちゃったんですよね。それもあって、壊れる人は出したくない、自分自身も壊れたくないっていうので、メンタルヘルスカウンセラーの学校に行こうって決めた感じですね。
自分がエンジニアだからかもしれないんですけど、やっぱり原因分析したがっちゃうんですよ。なので、EAPのセミナーでは自分の興味あるものばかり受けてましたね。『自分のあのときの思考はなんでそうなったんだろう?』とか。どちらかというと、からくりを知りたいみたいな。そういう理由で行ってましたね。
EAPの講義を受けて、『へぇ~』っていうのはいっぱいありました。あったんですけど、そのなかでも、相談とカウンセリングの違いってなんだろう、っていうのだけは、自分のなかで明確な答えは出なかったですかね。やっぱり講師の方もいろいろいたんですけど、答えは一つじゃなかったんですよね。『お金もらう・もらわない』だって言う人もいれば、『自分のなかでスイッチ入れる』って言う人もいるし、『いったん自分は置いておいて、っていうところの違いだ』って言う人も、さまざまでしたかね。 今は僕は、相談でもカウンセリングでも、結局相手がいるわけで、別にその人がスッキリ……っていったら変な表現なんですけど、スッキリすれば別にどっちでもいいかなって思ってますけどね。クライエントか、知人か友人かっていう表現の違いなんじゃないかな、ってくらいの感じですかね」。
実感した[共感]の瞬間
「実際に学校に通っているときに、僕自身が経験したんですけど、住んでいる家の目の前で交通事故があったんですね。それで眠れなくなっちゃった頃があって。フラッシュバックするっていうか。イメージがすごい残ってたので。
で、当時の講義の先生に、『これマズいですよね?』みたいな、最初軽い感覚で、病院行った方がいいのかな?って相談をしたんですよね。そしたら、先生が本当にサラッと『でもそれって当然のことなんじゃないの?』って。それだけの大変な体験をしたんだからって。実は、その言葉でそれ以降スイッチが入ったように眠れるようになったんですけど。
なので、それもあるからかもしれないですけど、あまりカウンセリングと相談の違いを自分のなかではそんなに感じない。っていうのも、仮に、もしこれでカウンセリングしたとしても、先生のその言葉だけでも僕は結果的には不眠が治ったっていうのがあったので、そんなにカウンセリングと相談に線引きはないと。
EAPの講義で学んでいて、当然教科書にあることもいろいろためにはなっているんですけど。もともとその先生が言っていた言葉で、『[治そう]とするんじゃなくて、[わかろう]とすることのほうが大事だ』って。 あとは、やっぱり僕は交通事故を見て眠れないときに『この状態じゃまずい』って思っていた思考が、『あぁ、普通なんだ』って。そういう発想がけっこう今でも生きているかもしれないですね。なんかあっても、あぁ、こんなことがあったんだからそりゃ当然か、みたいな。これは間違いなく薬じゃ無理だったよなぁって。そうなると、言葉の力っていうか、すごいなぁと思いますよね。
あとは多分、それはきっと僕はこういう思考だからそうなっただけな気もするし。当然、じゃあ同じような人がみんなその言葉かけたら治ったかっていうと、きっとそうでもないんだろうなって思いますよね」。
言葉の持つ力を実感した福嶋さんは、現在の仕事でも、受任先の社員の方のメンタルヘルスを気にかけています。「ただストレートなだけです」と、常に自然体でいる福嶋さんから感じる安心感は、その正直さから溢れ出るものなのでしょう。
「無意識かもしれないですけど、『頑張れ』とはあまり言わないですかね。その子なりにもう頑張っている状態なので。不器用な子はよく時間とか努力で頑張ろうってしちゃうので、なんとなくそういう子なんだろうな、っていう子には特に。ときには離れることも勧めたりします。選択肢はここだけじゃないんだよっていう意味で。もちろんそういうのって、会話のなかで感じ取ってくれたらっていう願いなんですけど」。
付け焼刃でやれない
eMCの資格を取得してからも、以前と変わらず身近な方々への声かけをしたり、悩みを聴いたりしている福嶋さん。
「もう本当に目の届く範囲だけですけれど。カウンセリングの資格を取ったときに、『カウンセリング怖いな』って思ったんですね。言葉一つでその人の人生決まるわけじゃないですか。付け焼刃でやっちゃいけないなぁって思っちゃったんですよね。やっちゃいけないなぁっていうか、やれないなぁ、ですかね。
困っている人を放っておけないところはありますね。なにか『アッ』って思ったときに一歩を出さなかったときは、すごい考えちゃいます。一歩がスッと出たときは本当に無意識ですね。基本的に理屈っぽいけど、そういうところは感情ですぐ動く感じですかね。
また研修やセミナーに参加したいなーって思ってますけど、やっぱり僕の場合は傍にいる人ぐらいでいいかなと思ってますかね」。
福嶋さんはそう話したあと、「怒られそうですかね」と優しく微笑んでいました。周りの人と真摯に向き合っているからこその責任感が、そこに溢れていました。